東京商工リサーチによると、コロナ禍で広がった三密を避ける行動や実質賃金の伸び悩み、飲食代の値上げなどで飲み会や接待が減少。お客の利用回数も減少している。
さらに、物価高や価格競争、人手不足、コロナ支援の終了など、複合的な要因が重なり、バーやキャバクラなど夜の飲食業界は苦境に立たされているという。
「バー」、「キャバクラ」の倒産は、過去10年での最多件数を更新
同社は、過去最多を更新した2024年上半期の「バー,キャバレー,ナイトクラブ」の倒産を分析した。
それによると「バー」は、コロナ前の2018年上半期からコロナ禍の2020年同期まで各17件発生した。コロナ禍は、コロナ関連の資金繰り支援やジャパニーズウイスキーブームなどもあり、2022年同期は6件、2023年同期は9件に急減した。
だが、支援縮小や終了、ウイスキーの値上がり、新しい生活様式の浸透で一転し、2024年同期は24件(前年同期比166.6%増)に急増。過去10年での最多件数を更新した。
「キャバクラ」はこの間、4件前後で推移し、大きな変化はなかった。だが、コロナ禍を経た2024年同期は10件(同150.0%増)と過去最多を更新した。接待などの減少で息切れが表面化したとみられる。
一方、価格が比較的安く、カラオケ復調も背中を押した「スナック」は、2024年同期は13件(同160.0%増)に増加したが、最多だった2018年の17件より4件少なかった。
(坂土直隆)