株式会社東京商工リサーチは、2023年度の「税金滞納」倒産数を発表した。調査は、2023年度(2023年4月-2024年3月)の全国企業倒産(負債1,000万円以上)のうち、「税金滞納」関連をまとめて集計・分析した。
2020年度以降では最多を記録
それによると、2023年度(4-3月)の「税金滞納」が一因となった倒産は82件(前年度比241.6%増)で、前年度の24件から3.4倍に急増した。2014年度以降では、2018年度の83件に次いで2番目の多さだが、コロナ禍以降の2020年度以降では最多を記録した。
コロナ禍の資金繰り支援として、特例で1年間の納税猶予が認められた。経済活動が平時に戻ると猶予期間はなくなり、通常通りの納付が求められる。
だが、コロナ禍が収束に向かうに従い、円安、原材料や資材、光熱費の価格上昇に加え、人件費上昇などのコストアップが企業の負担になっている。
このため、資金繰りに余裕を欠く企業は税金納付に資金を回せず、その結果、滞納で債権や資産の差し押さえを受け、事業継続が困難になる。特に、社会保険料は労使折半で負担しており、徴収が厳しいとの声もあるが、徴収にあたっては企業に寄り添った支援も必要だろうと、同社では分析している。
(坂土直隆)