帝国データバンクは、保有する企業データベースのうち、2023年2月-24年2月間に決算を迎えた企業財務データ(約97万社・780万期収録)を対象に、企業が引き上げ可能な賃金水準について試算・分析を行った。
政府の要求水準、連合が集計した組合要求水準のいずれも上回る数値に
この結果、当期純利益の30%分を人件費へ「投下」した場合、平均で6.31%分の賃上げ率に相当する試算となった。
帝国データバンクの調査で判明した、企業が想定している賃上げ率(4.32%)を上回ったほか、政府の要求水準(5%以上)、連合が集計した組合要求水準(5.85%)のいずれも上回る数値となった。
このうち、「中小企業」では、平均5.90%の賃上げ率相当分に該当した。大企業では、平均で18.93%相当の賃上げが可能だった。企業の内部留保とされる最終的な当期純利益の一部を人件費に分配した場合、組合要求を大きく上回る6%超の潜在的な「賃上げ力」が企業に眠っている可能性があるとしている。
また、当期純利益の10%分のみを人件費へ投下した場合では、全国平均で2.10%の賃上げ率にとどまり、政府の要求水準を大きく下回った。
大企業でも6.31%相当にとどまり、利益の多くを利益剰余金など内部留保に回した場合、大幅な賃上げは困難だった。当期純利益の50%分では、全国平均で10.52%の賃上げが可能で、中小企業は9.84%、大企業は30%を超える水準となった。
※調査結果:
https://www.tdb.co.jp/report/index.html (坂土直隆)