2023年の人手不足を要因とした倒産は260件にのぼり、過去最多を大幅に更新し、人手不足による企業経営への悪影響が顕著にみられた一年だった。
物価上昇にともない、活発となった「賃上げ」は、人材の確保・定着には欠かせない手段であるなか、いわゆる「年収の壁」問題から、結果的に総労働時間の制約が指摘されるなど、課題は山積している。
人手不足が2024年の景気を見通すうえで懸念材料の上位にあげられているなか、企業の人手不足の状況について、調査を実施した。
人手不足を感じている企業ほど、「賃上げ」を実施予定
<調査結果(要旨)>
正社員の人手不足企業の割合は52.6%。業種別では、ITエンジニア不足が顕著な「情報サービス」が77.0%でトップとなり、過去最高を更新する高水準に。「2024年問題」が懸念されている建設/物流/医療業では、それぞれ約7割となった。
非正社員の人手不足割合は29.9%。業種別では「飲食店」(72.2%)がトップ。また、派遣人材の不足が聞かれる「人材派遣・紹介」(62.0%)も、6割超で続いた。
新型コロナウイルス感染症の「5類移行」により、経済の正常化が進んだ2023年は人手不足の高止まりが続いたが、正社員・非正社員ともに、2024年も同様の傾向で推移することが見込まれる。
なかでも、ITエンジニア不足が顕著な情報サービス業や、「2024年問題」が懸念される業種ではさらなる上昇も見られ、今後さらに人手不足が深刻化する可能性がある。
また、人手不足を感じている企業ほど、2024 年度の賃上げを実施見込みであるという傾向が表れた。一方で、原材料・エネルギーなどのコスト高騰も重くのしかかるなか、賃上げが難航しているという声も寄せられている。
そうしたなかで、同業他社の動向なども考慮しつつ、どのように賃上げを行い人材の定着・確保へとつなげられるか、企業は人手不足解消に向けた重要な局面に立たされている。