帝国データバンクでは、人手不足倒産の動向を分析した。
2014年以降で初めて200件を上回る高水準に
この分析によると、今年10月の人手不足倒産の件数は29件となり、年間累計で206件に達した。
10月時点で年間ベースの過去最多を更新しており、2014年以降で初めて200件を上回る高水準となった。
業種別の内訳をみると、2024年4月から時間外労働の上限規制が適用される建設業と物流業の合計は109件だった。この2業種だけで全業種の過半数を占めており、既に「2024年問題」は顕在化した格好となった。
人手不足倒産について内訳をみると、業歴別では約4割にあたる84件が「30年以上」だった。長い業歴を有しているなかでも、人手不足が引き金で倒産するケースは多い。
また、従業員数別では約75%が「10人未満」の企業で占められている。小規模事業者では、1人の退職ダメージが大きいことが原因のようだ。
新型コロナが感染拡大したことで経済活動が止まり、一時的に人手不足は緩和されたものの、その後は景況感の回復にともない人手不足割合は再び上昇している。
同社では、こうした状況が続いた場合、足元では物価高などにより各種コストが高騰し、人件費に割ける余力が残されていないというケースもみられるなか、人手不足倒産の件数はさらに増加しそうだと推測している。
(坂土直隆)