帝国データバンクの調査によると、日本企業の「後継者問題」が、急速に改善へと向かっているようだ。
事業承継は、脱ファミリーの動きが鮮明に
同社が、2022年の全国・全業種約27万社における後継者動向について調査した結果、後継者が「いない」、または「未定」とした企業が15.4万社に上った。
この結果、全国の後継者不在率は57.2%となり、コロナ前の2019年からは8.0pt、2021年の不在率61.5%からも4.3pt低下し、5年連続で不在率が低下した。また、調査を開始した2011年以降、後継者不在率は初めて60%を下回った。
また、2018年以降の過去5年間における事業承継について、先代経営者との関係性(就任経緯別)をみると、2022年の事業承継は「同族承継」により引き継いだ割合が34.0%に達し、全項目中最も高かった。しかし、前年からは4.7ptの低下となり、親族間の事業承継割合は急減している。
一方、血縁関係によらない役員などを登用した「内部昇格」が33.9%となり、前年から2.5pt増加した。また、買収や出向を中心にした「M&Aほか」の割合が20.3%と、調査開始以降で初めて20%を超えた。
一方で、同じ親族外の承継でも、社外の第三者を代表として迎える「外部招聘」は7.5%にとどまった。事業承継は脱ファミリーの動きが鮮明となっているものの、第三者承継は自社社員かM&Aなど、他社との吸収・合併によるものに二極化している。
(坂土直隆)