帝国データバンクでは、新電力会社の倒産動向と今後の見通しについて調査・分析を行った。
過去最多を大幅に更新
それによると、みなし小売電気事業者(旧・一般電気事業者)を除く「新電力会社」(登録小売電気事業者)の倒産は、2021年度(2021年4月~22年3月)に14件発生した。
年度を通じて倒産が2ケタに達したのは初めてで、前年度の2件から急増、過去最多を大幅に更新した。
また、電力小売事業からの撤退や新規申し込み停止も相次いでおり、2021年4月に営業が確認できた新電力約700社のうち、約4%に当たる31社が過去1年間で倒産や廃業、事業撤退などを行ったことが分かった。
2021年度に倒産した新電力の多くは、自前の発電所を持たず、調達の多くを卸市場に依存していた。そのため、昨シーズン(2020-21年)冬の市場価格高騰で電力調達コストが大きく上昇し、採算性が悪化した。
加えて、莫大なインバランス分の支払い負担が重荷となり、F-Power(2021年3月会社更生法)をはじめ、巨額の負債を抱え経営破綻に至った。その後も、電力調達価格は下がらず、秋以降はエネルギー価格の高騰で卸電力価格が再度高騰した。
1度目のインバランス料金支払いで、経営余力を削がれた新電力各社の経営を直撃しており、今年3月にはホープエナジーが負債300億円を抱えて、破産手続き開始決定を受けた。
(坂土直隆)