帝国データバンクは、2022年1-3月期における企業の休廃業・解散動向について調査・分析を行った。
廃業のトレンドは、「あきらめ」のケースから「ギブアップ」へ
2022年1-3月に全国で休廃業・解散を行った企業(個人事業主を含む、速報値)は、1万3,251件(前年同期比4.2%減)となった。四半期として増加したのは、2021年4-6月期以来3四半期ぶりだった。
これまで、企業の半数超が活用しているとされる無利子・無担保融資(通称「ゼロゼロ融資」)や資本性劣後ローンなど、政府による事実上の資本注入策が中小零細企業の経営を強力に下支えし、経営不振から事業継続を断念する休廃業・解散は、抑制された状態が続いてきた。
ただ、資産が負債を上回る割合は、前年同期を下回る63.3%となったほか、利益が黒字かつ資産超過の健全企業が占める割合(6.6%)も、前年同期を下回る水準が続いている。
帝国データバンクによれば、コロナ禍3年目となる今年は、ゼロゼロ融資の元本返済と利払いが本格化する中小企業が多くなる見通しだという。
こうしたなかで、休廃業のトレンドは、安定した事業継続が可能だった比較的早期に事業を畳む「あきらめ」のケースから、ゼロゼロ融資の返済見通しが立たない、慢性的な経営不振企業の休廃業=「ギブアップ」へと、潮目が変化している可能性があると分析している。
(坂土直隆)