帝国データバンクの調査によると、今年1月の倒産件数は482件となり、8カ月連続で前年同月を下回った。
しかし、減少率は2021年7月をピークに毎月縮小傾向にあり、1月の減少率は過去8カ月で最も小さい4.7%となるなど、倒産の減少トレンドは“底打ち”の兆しも見え始めている。
自ら事業を畳む「あきらめ型」の倒産が、水面下で増加
2021年1月と22年1月のキーワード登場回数を比較すると、新型コロナの「感染拡大」は前年1月の1.8倍となる104回となったのをはじめ、「売上高」「資金繰り」「感染拡大」「赤字」などのキーワードがそれぞれ1.5倍と増加した。
コロナ禍で急激に市場が縮小するなか、限られたパイを巡ったシェア争いが激化した同業他社などとの「競合」も、前年から1.3倍増加した。なかでも、前年から特に目立つのは「先行き」「見通し」など、事業の将来などを示すキーワードで、前年を大幅に上回っている点は特徴として挙げられる。
コロナ禍の影響をゼロゼロ融資など各種支援で、一旦は凌いだものの、長引くコロナ禍で需要の回復が見通せず、将来の見通しが立たないなどの理由から、自ら事業を畳む「あきらめ型」の倒産が、水面下で増加している可能性を示していると、同社では分析している。
(坂土直隆)