帝国データバンクは、2021年に発生した「人手不足倒産」の件数を集計し、分析を行った。
2019年から2年連続で減少
従業員の退職や採用難などが原因で労働力が不足し事業が継続できなくなる「人手不足倒産」。2021年に発生した件数は、104件となり、185件で最も高かった2019年から2年連続で減少した。
2017年(106件)を下回り、4年ぶりの低水準となるなど、大幅に減少する結果となった。
もともと、景況感が上向くなかで2019年末まで企業の人手不足感は慢性的な高水準で推移しており、企業の約半数が人手不足感を抱える状況だった。
実際に帝国データバンクが実施した調査では、当時見込んでいた2020年における景気の懸念材料として、「人手不足」が筆頭となるなど、企業経営のうえで深刻な課題の一つとしてあげられていた。
こうしたなか、2020年の年初から新型コロナウイルス(以下、新型コロナ)の感染拡大によって、外出自粛や休業などの影響で経済活動は大幅な制限が強いられたことで業務量は縮小し、様相は一変。人手不足感は急速に低下したことで、人手不足に起因する倒産は大幅に減少する結果となった。
(慶尾六郎)