帝国データバンクによると、企業の休廃業・解散件数は、2020年で約5万6000件をとなった。同年の倒産(7809件)の約7倍で推移したものの、2019年の約6万件を下回り、過去5年間では最も少なかった。政府や金融機関による資金繰り支援・給付金等が奏功し、休廃業・解散の抑制につながった。
収束がみられない型コロナウイルスの感染
一方、2021年に入っても新型コロナウイルスの感染に収束がみられず、再度の緊急事態宣言、休業要請が出される見込みとなっている。
売り上げの大幅減が避けられない三度目の緊急事態宣言・休業要請は、対象となる飲食店や小売店、サービス業をはじめ1年以上の我慢を強いられてきた業種・業界にとってはさらに影響が大きい。
既に一部の業種では休廃業・解散が前年までと異なって増加傾向に転じており、景況感や需要回復への期待から一転して経営再起への諦めムードが広がることで、事業者の倒産・廃業が急拡大する懸念は拭えない。
2021年1-3月に全国で休廃業・解散を行った企業(個人事業主を含む)は1万3512件(前年同期比9.5%減)となった。同期間では2016年以降で最も少なく、1-3月時点では前年同様、引き続き抑制傾向で推移した。
サービス業などでは引き続き厳しい経営環境が続く
1-3月にかけては新型コロナの感染再拡大、それに伴う緊急事態宣言の発出もあり、サービス業などでは引き続き厳しい経営環境が続いた。
しかし、官民一体となった資金繰り支援が経営の苦しい中小企業における事業継続意欲の喪失や再建断念の動きを一時的ながらも予防しており、休廃業・解散の発生を抑制した主要因となっている。
ただ、同期間で2割超の減少となった倒産(2019年1-3月:2091件→20年同:1596件、23.7%減)と比べ、1-3月時点では休廃業・解散の減少は小幅にとどまった。 (慶尾六郎)