帝国データバンクでは、「粉飾」や「業法違反」「脱税」などのコンプライアンス違反が取材により判明した企業の倒産を「コンプライアンス違反倒産」と定義。2020年度(2020年4月~2021年3月)の同倒産(法的整理のみ)について分析した。
コンプラ違反企業の倒産が表面化しづらくなった
それによると、2020年度(2020年4月~2021年3月)のコンプライアンス違反(コンプラ違反)倒産は、182件判明した。
前年度比で19.1%減少し、2011年(159件)以来、9年ぶりに200件を下回った。個別企業では2019年度以前からコンプライアンス面に問題を抱えていた企業が、新型コロナの影響を受け倒産に至ったケースも見られた。
2020年度の全国企業倒産は7314件と前年度を13.8%下回った。給付金やコロナ対策の緊急融資など企業向けの各種支援策が、幅広く行き渡ったことで一時的に倒産が抑制され、コンプラ違反企業の倒産が表面化しづらくなったものと、帝国データバンクでは分析している。
最も多い業種は「サービス業」
業種別にみると、最も多かったのは「サービス業」の40件(構成比22.0%)。接骨院チェーンでの診療報酬の不正請求や、弁護士事務所における顧客から預かり金の不正流出などが発生した。
次いで「建設業」(34件、同18.7%)が多く、架空取引などの粉飾事例が多くを占める「卸売業」(29件、同15.9%)が続いた。
(慶尾六郎)