帝国データバンクの調べでは、ネイルケアや関連サービスを提供する「ネイル専門サロン」の倒産が11月までに19件判明。この時点で2000年以降最も多かった2014年(18件)を上回り、過去最多を既に更新している。
このペースが続けば、ネイルサロンの倒産は過去初めてとなる20件台の突破もみえており、増加傾向が続いている。
競争激化に加えコロナ禍による外出自粛が直撃
近年目立つのは、マンションサロンやホームサロンなど、小規模なネイルサロンの倒産が相次いで発生していること。市場の拡大に伴い、大手から中小の美容関連企業、独立したネイリストが相次いで市場に参入してきた。
しかしその半面、店舗数が急増したことで競争激化の影響が深刻化、収益確保がままならず厳しい経営を余儀なくされてきた。
そこに新型コロナウイルスの影響で外出機会が大幅に減少し、メイクなど女性の美容需要減退が重なった。そのため、先行きを見通せずに事業継続を断念せざるを得ないケースも発生するなど、ネイルサロン業態は今厳しい状況下に置かれている。
来年以降も淘汰が進む可能性も
また、在宅勤務の普及などで働く女性を対象にしたオフィス(職場)ネイル需要などは、コロナ禍以前の水準に短期間で回復するかは不透明だという。
同社の予測によると、主要な顧客層の一つである、いわゆる「夜の街」に勤める女性の需要も、大幅な需要回復が見込める状況には当面ないという。
3万店規模に拡大したネイルサロンは、急激に縮小するパイを取り合う熾烈な生き残り競争に直面することを余儀なくされる見通しで、来年以降も淘汰が進む可能性があると、帝国データバンクでは予測している。 (慶尾六郎)