帝国データバンクでは、信用調査報告書ファイル「CCR」(200万社収録)など自社データベースを基に、2022年10月-24年10月の期間を対象に、事業承継の実態について分析可能な約27万社(全国・全業種)における後継者の決定状況と事業承継について、分析を行った。
後継者が「いない」、または「未定」とした企業は14.2万社
全国の全業種約27万社を対象とした2024年の後継者動向を調査した結果、後継者が「いない」、または「未定」とした企業は14.2万社に上った。
この結果、全国の後継者不在率は52.1%となり、23年から1.8ポイント(pt)低下した。7年連続で前年の水準を下回ったほか、コロナ前の19年に比べると、13.1ptも低下するなど改善傾向が続いた。
事業承継に関する官民の相談窓口が全国に普及し、プル・プッシュ型の各種支援メニューも拡充されたことで、従前は支援対象として手が届かなかった小規模事業者にも門戸が広がった。
自治体や地域金融機関などの支援機関が事業承継を呼びかけるアナウンス効果も加わり、事業承継の重要性が広く認知・浸透したことが、後継者不在率の改善に大きな影響力を発揮したとみられる。
他方で、前年からの改善幅はコロナ禍以降では2020年に次いで2番目に小さく、後継者不在率の改善ペースは鈍化傾向がみられる。
(坂土直隆)