株式会社帝国データバンクは、2024年の人手不足倒産の動向調査を実施した。
2013年以降の過去最多を、2年連続で大幅に更新
それによると、人手不足によって事業継続の断念に追い込まれるケースは、一層深刻化してきた。
2024年に従業員の退職や採用難、人件費高騰などを原因とする人手不足倒産は、累計で342件が発生。年間ベースとして、調査を開始した2013年以降の過去最多を、2年連続で大幅に更新した。
人手不足を感じている企業の割合は、2024年12月時点で52.6%となり、新型コロナウイルスの感染が拡大したことで、一時的に緩和された2020年以降は急上昇し、高止まりが続いている。
また、いわゆる「団塊の世代」のほとんどが75歳以上の後期高齢者となる「2025年問題」に代表されるように、労働者の高齢化も深刻だ。今後も、マンパワーの拡大は期待しにくいことから、人手不足による倒産は、今後も高水準で推移すると、同社では予想している。
業種別では、建設業が99件(前年比+8件)で最も多く、物流業も46件(同+7件)と高水準だった。新たな時間外労働の上限規制が適用された「2024年問題」に直面した両業種で、全体の4割強を占めた。
その他、労働集約型の産業である飲食店(16件、同+7件)や美容室やネイルサロンなどの美容業(9件、同+5件)、労働者派遣業(8件、同+5件)、警備業(6件、同+5件)なども急増した。
(坂土直隆)