帝国データバンクは、現在の価格転嫁に関する企業の見解を調査した。本調査は、TDB景気動向調査2024年7月調査とともに行った。
価格転嫁に関する実態調査(2024年7月)
<調査結果(要旨)>
自社の商品・サービスに対し、コストの上昇分を『多少なりとも価格転嫁できている』企業の割合は78.4%、「全く価格転嫁できない」は10.9%だった。
価格転嫁率は44.9%と、前回調査(2024年2月)から4.3ポイント上昇しつつも、依然として5割以上を企業が負担。
業種別の価格転嫁率は、「化学品卸売」(65.0%)や「鉄鋼・非鉄・鉱業製品卸売」(63.0%)などで6割を超えた。
本調査の結果、価格転嫁に対する理解は浸透し、実際に転嫁が少しずつ進んでいるものの、原材料価格の高止まりや人件費の高騰などに加え、同業他社の動向、消費者の節約志向も相まって、「これ以上の価格転嫁は厳しい」といった声も多数寄せられている。進み出した価格転嫁が頭打ちになる可能性もある。
政府の価格転嫁に対する支援は一定の成果があがっているようだが、現状を打破するためには、原材料の安定供給に向けた政策や賃上げの支援を継続しつつ、購買意欲を刺激する大規模な減税など、収入の増加につながる多角的な経済施策が必須となるだろう。