帝国データバンクは、現在の価格転嫁に関する企業の見解を調査した。調査は、TDB景気動向調査2024年7月調査とともに行った。
コスト100円上昇に対する売価への反映は44.9円、前回調査を4.3円上回り、過去最高
自社の主な商品・サービスにおいて、コストの上昇分を販売価格やサービス料金にどの程度転嫁できているかを尋ねたところ、コストの上昇分に対して、『多少なりとも価格転嫁できている』企業は78.4%と、8割近くにのぼった。
内訳をみると、「2割未満」が19.6%、「2割以上5割未満」が18.6%、「5割以上8割未満」が20.2%で2割を超え、「8割以上」が15.5%、「10割すべて転嫁できている」企業は4.6%だった。
他方、「全く価格転嫁できない」企業は10.9%と、前回調査(2024年2月)から1.8ポイント減少した。「厳しい競争環境があり、コストを転嫁すれば顧客を失ってしまう」(機械・器具卸売、愛媛県)などの意見も聞かれ、依然として全く価格転嫁ができていない企業が1割を超えている。
また、コスト上昇分に対する販売価格への転嫁度合いを示す「価格転嫁率は44.9%となった。帝国データバンクでは、これはコストが100円上昇した場合に44.9円しか販売価格に反映できず、残りの5割以上を企業が負担していることを示していると、分析している。
(坂土直隆)