帝国データバンクは、法的整理(倒産)となった企業のうち、原油や燃料、原材料などの「仕入れ価格上昇」、取引先からの値下げ圧力などで、価格転嫁できなかった「値上げ難」などにより、収益が維持できずに倒産した企業を「物価高倒産」と定義し、集計分析を行った。
前年同月(13件)の約2.6倍に急増
それによると、今年1~8月の「物価高倒産」は、累計150件となり、調査開始の2018年以降で最多だった2021年(138件)を、8月時点で上回り、年間最多を早くも更新した。
8月単月では34件判明し、月間最多だった7月(31件)をさらに上回り、2カ月連続で最多を更新。前年同月(13件)の約2.6倍に急増した。
これらの数字は、個別の取材の中で倒産理由が判明したケースのみ集計しており、あくまで氷山の一角に過ぎない。同社では、実際にはさらに多方面に、物価高の影響が広がっている可能性が高いと分析している。
50件を業種別にみると、「運輸業」(42件)がトップで、全体の約3割を占めた。以下、「建設業」(34件)、「卸売業」「製造業」(各23件)が続いた。
このうち、8月は「運輸業」(9件)、「製造業」(8件)、「建設業」(7件)、「卸売業」(5件)の順。規模別にみると、全体の約8割が負債5億円未満の中小企業が占めた。
(坂土直隆)