帝国データバンクの調査では、2021年度4-8月の5カ月間で発生した後継者難倒産は累計191件となり、同期間としては3年連続で190件を超えるなど高水準での推移が続いている。
重みを増す高止まりする後継者難倒産
また、後継者難倒産が全体の倒産件数に占める割合は7.9%と1割近くに達し、昨年度の5.7%を上回るハイペースで推移している。
全国の企業倒産が政府・民間金融機関による積極的な資金供給やコロナ対応の補助金などを背景に抑制されている一方で、高止まりする後継者難倒産が重みを増してきている。
業種別でみると、建設業が42件で全業種中最も多かった。建設業では、後継者不在率が2020年11月時点で6年連続の70%となり、長期にわたって10社のうち7社で後継者が決まっていない深刻な後継者不足に陥っている。
こうした中、近年は受注環境が激化していることに加え、コロナ禍で民間工事の案件が延期や凍結されるなどの事象も発生したほか、木材価格の高騰(ウッドショック)などによる収益のひっ迫など将来の展望が立たないことも背景に、事業継続を断念するケースが多くみられるという。
(慶尾六郎)