依然として収束の見通しの立たない新型コロナウイルスの感染拡大。例年であれば、これからのシーズンは、忘年会や新年会など宴会需要が増え、まさに書き入れ時を迎えるはずの居酒屋業界。
しかし、今年は様相が一変。多人数の飲み会の自粛が続いてきたなか、ここにきて第3波が発生したことで、GoToEatキャンペーンをきっかけに年末にかけて期待されていた客足回復ムードは一気に冷え込み、倒産発生のペースが加速する可能性がある。
10月時点で過去最多を更新
2020年1月~10月の居酒屋経営業者の倒産は164件発生し、過去最多となった2019年の161件を10月までに更新した。月別でみると、政府より緊急事態宣言が発令された4月(23件)に最多となった。
5月は、裁判所や弁護士事務所の業務の大幅縮小などの影響で減少したが、その後は高水準で発生し続けている。このままのペースで倒産が発生すると、年間で200件に達する可能性もある。
コロナ第3波で年末需要が消失、倒産ペース加速か
政府は、持続化給付金や実質無利子・無担保融資などの支援策や、10月よりGoToEatキャンペーンを開始し、客足も戻りつつあるなかであったが、近時、飲食店でクラスターが発生するなど、いわゆるコロナ第3波の発生で再度新規感染者数が増加する事態となっている。
政府は、飲食店でのガイドラインの見直し、強化の考えを示しており、さらなる感染拡大を防ぐための取り組みが導入されるだろう。
例年であれば忘年会や新年会といった居酒屋にとってはまさに書き入れ時を迎えるはずだが、第3波の発生で利用を控える動きもより強まるだろう。年末年始需要の消失で、倒産ペースが加速する可能性もある。